金型は、まず機械で成型され、その後に職人が一つひとつ手で磨き上げます。カッター跡を滑らかにし、素材がしっかりと絞り込めるように整えるのです。金属は生き物ですから、理論値だけではどうしても微細な誤差が生じます。それを調整するのが職人の腕の見せ所で、一人前の金型職人になるには10年かかると言われています。
磨きが終わったら組み立てて金型を完成させ、実際に部品を作ってみて精度を測り、さらに調整を重ねていきます。こうして出来上がった金型も、季節の温度差に影響を受け、日々の作業の中で摩耗するなど変化しますから、つねに最良の状態に保つよう、メンテナンスを怠りません。金型は、受注した部品を同じクオリティで量産するための“生命線”。金型職人には、その生命線を守っているという自負があります。