相栄産業の工場がある燕三条は、金属加工業で全国的に有名ですが、その歴史は室町時代初期、鋳物師の活躍まで遡ります。江戸時代に入ると釘鍛冶職人による和釘の製造が盛んとなり、また中期には鋸、鉈など鉄製曲尺の技術が伝わり、この地で隆盛を極めました。以来この町には、「モノ作り」の精神が脈々と受け継がれています。
大小さまざまな工場機械が躍動する音に満ち、働く職人たちの息吹が熱を生む燕三条。戦後は、洋食器や工具、家電製品、自動車部品など、主流となる産業の変遷はありつつも、つねに高い技術で時代の要請に応えてきました。基幹産業として町を支える金型業は現在、県央近辺だけでも250社を数え、プレス、プラスチック、鍛造、鋳造、ゴムなど、全国から寄せられる幅広い需要に対応しています。かつて高度成長期を牽引した日本の「モノ作り」技術。舞台をグローバルに広げ、今この町から、新たな1ページが始まろうとしています。
写真提供:玉川堂